記憶

長い年月の始まりの地点は
もうとうに見えなくなっていた
あの時君が 笑ってくれたから…
Mn… 何でもないや
ため息さえしみ入る乾いた心に
明かりを灯して潤すような なじんだ声と
仕草に僕は
ふと優しくなれたような気がしたんだ

相変わらず負けず嫌いな君でも
上手くはいかない時もあるから
そんな時は抱えこまなくていいよ
今を駆ける君は僕の憧れ

足りない物を注ぎ足しては
虚像と化した僕を作り上げていた
でも今ならきっと違う形で
「僕」という価値を見出せるだろう
ほんの些細なことで心躍る時も
壊れそうになって塞ぎ込むような日でも
どんな時にだって 何も変わらない君の言葉に
どれほど救われただろう

いつか 今日さえ過去となって
記憶の先へ消え去ったとしても
今はそっとこの手を握りしめていよう
日々のひとかけらを 離さぬように

はきなれた靴を履いて 明日も出かけよう
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