綴化

器を満たす涙に浮かんだ
三日月で切った君の髪を束ねた筆

描く天まで伸びる梯子
過去に生きるのはもう最後
両端同士を結んだ糸
結んだ糸

君の触れた場所だけが
いつか色褪せたこの世界を彩る
君を抱き留めた腕さえ
輝いて見えて
暗闇に慣れた目にはまぶしすぎて
影を探した

夕靄を誘う木々のさざめき
黄昏に閉じ込められ二人そぞろ歩く

道に置かれた朽ちた水槽
錆びた鍵を手にし待つ人
洞ろを飾る君の水晶
君の水晶

君の触れた場所だけが
いつか色褪せたこの世界を彩る
君を抱き留めた腕さえ
輝いて見えて
暗闇に慣れた目にはまぶしすぎて
影を探した

枯れた希望を吸収し
閉じた記憶を突き破り
開く大輪の花
増殖続け

暗闇に慣れた目
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