雨情の宿

しのび泣くよな 小夜(さよ)しぐれ
窓にこころに 降りしきる
今宵ひと夜の 雨情の宿で
忘れられたら いいものを
憎い恋しい 波の音

人の運命(さだめ)を 恨んでも
元のふたりに 戻れない
湯の香せつない 雨情の宿で
さした紅より 肌を染め
堕ちてゆきます 恋の闇

ほつれ黒髪 梳(と)かす指
やさしすぎると つらくなる
名残りつきない 雨情の宿で
明日(あす)は他人に なる身なら
せめて酔わせて 夜明けまで
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