吉備路ひとり

罪な恋だと 知りながら
なぜに女は 身をまかす
吉備津神社(きびつじんじゃ)の 廻廊(かいろう)を
戻ればあなたに 逢えますか
女の涙か そぼ降る雨に
濡れて吉備路を 歩きます

肩を抱かれて 十六夜(いざよい)の
月を眺めた 隠れ宿
レンゲ畑に ひとつずつ
思い出埋(うず)めて 帰ります
あなたに迷惑 かけたくないと
決めて吉備路を 歩きます

情けひとつに 結んでも
無理に別れる 恋もある
揺れる面影 五重の塔
今日であなたを 忘れたい
女の未練を 小雨に流し
ひとり吉備路を 歩きます
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