春宵

実は、あたしね、生きる資格なんてない
自分を許そうと思うたび、大切なひと、いなくなる

どうして、神様は平等じゃないんだって
もっとね、生きていてほしかった人たちばかり攫ってゆくの

春のなか、あたしは一人きり
渋谷駅のホームから飛び降りようと決めました
それくらいの覚悟で 今まで生きてないと

実は、たまにね、夢に出てきて笑うんだ
目覚めたあとに、いつも涙が
嘘みたいにね、こぼれだすんだ

どうして、神様はあたしを殺さないの?って
きっとね、あなたの分もあたし
息してくんだ 生きなくちゃなんだ

春のなか、なぜだか一人きり
渋谷駅のホームから飛び降りようと決めました
それくらいの覚悟で あなたを愛してたと

テレビドラマも映画もぜんぶ自分と重ねてしまう
友達のSNSの笑顔がすべて不謹慎に映る
きみたちだけの世界じゃないのにどうしてそんなに勝手なの?
今もどこかで感情を殺す作業に終われるあたしたちがいる
まだこの世界に違和感があって またあの世界に戻れる気がして
でももう二度と来ないんだよ 二度と会えないんだよ
あなたのその笑顔に

明日もまたあたしは一人きり
あなたがいないこの世界で戦いながらも
ここにいた確かなその命と一緒に歩いてこうと
あたしはあなたなんだと

あたしが生まれたことを心から幸福に思ってくれたあなたへ
あたしに血を分けてくれたあなたへ
きっと今でも見守ってくれているあなたへ
あなたほどになれる自信はないけど
あなたのようになりたいと思っている
きっとこれからも過ちを犯すし
人を傷つけていくだろうけど
ふらふらと凛と歩くあたしを見ていて ありがとう
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