哀愁波止場

夜の波止場にゃ 誰(だ)ァれもいない
霧にブイの灯(ひ) 泣くばかり
おどま盆ぎり盆ぎり
盆からさきゃ おらんと……
あの人の すきな歌
波がつぶやく 淋(さみ)しさよ

「ああ今夜もブイの灯が……
冷たい私の心のように
うるんでいる
あの人のいない港は
暗い海の波のように淋しいわ……
あの人がいつも歌った唄が
今夜も私を泣かすのね」

三月(みつき)待っても 逢うのは一夜(ひとよ)
恋も悲しい 波止場町
五ッ木(ぎ)くずしは
しんから なけるよ……
思い出の 滲(にじ)む歌
耳に残って 離れない
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