宛先のない恋文

潮騒の歌 聴きながら
綴る旅の手紙は
遠いあの日の もつれた糸を
ゆっくりほぐしてゆくのです
言葉にできない 愛しさばかり
あとから あとから あふれるの
宛先のない恋文 海のポストに入れて
荷物をそっと おろします

かなわない恋 振り返り
胸の傷をなぞれば
瀬戸は夕凪 あなたの痛み
想える女になりました
百年先でも 千年後(ご)でも
愛なら 愛なら 生きている
宛先のない恋文 どうか伝えて欲しい
わたしは今も ひとりだと

誰にも言えない 誰かの想い
波間に揺られて 流れ着く
宛先のない恋文 海のポストに入れて
荷物をそっと おろします
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