鞦韆

遠い山から
吹く風 はこぶ便り
丘の広場は
西日の腕に

誰か忘れていった
銀のハーモニカ
落葉のかげで
黙り込む

ゆらり ゆらり
影をあやして 揺れる
ずっと昔
見た夢を思い出して
鞦韆 揺れる

静かに老いた
賢いひとのように
移る季節を
ながめてる

坂道づたい
夕闇は 降りてきて
まちに灯りの
毛布をかける

鬼の子どもは
一番星 追ってきて
広場の前で
立ち止まる

ゆらり ゆらり
月を仰いで 揺れる
錆びた鎖
ふるえる世界(よぞら)に
うなづくように 揺れる

眠りの前の
ひそやかな笑い声
まぶたをとじて
聞きながら
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